カリスマ社長に求婚されました
蓮士さんは、私を好きでこんなことをしているわけじゃない。

そんなことは、彼の目を見れば分かる。

優一さんのように、愛おしい目で見てくれていないもの。

こんなときに、やっぱり私は優一さんに愛されていたのだと、改めて実感する。

だけど、今さらもう遅い……。

なんでゆうべ、奈子さんの話を振っちゃったんだろう。

どうして意地になって、ショップの店員になりたいと思ったんだろう。

優一さんが納得してから、決めればよかったのに……。

これは、神様から下された罰?

自分勝手な振る舞いをした私への……。

恐怖で目を閉じ、蓮士さんの唇が私の唇に重なる……。

と最悪なシチュエーションを想像していたとき、

「殴っていいか?」

優一さんの声とともに、蓮士さんが離れたのが分かり目を開けた。
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