カリスマ社長に求婚されました
「そうだったの?」

スーツを着て行ったから、なにか特別な用事なのだろうと思ってはいたけど、奈子さんに会っていたのは驚きだ。

「でも、なんで? また仕事でタックを組むとか?」

「いや、その反対。オレは、奈子とやり直す気はないことと、茉奈へ嫌がらせをするなら、ビジネスパートナーにもなれないことを伝えた」

「そうなんだ……。でも、大丈夫なの? まさか私のために、ellにとってのメリットを失ってるわけじゃないよね?」

嬉しい半面、私のつまらない嫉妬が、優一さんの足を引っ張っていないか不安になる。

「いや、それはない。だいたい、茉奈はellそのものだ。その茉奈を傷つけるのは、誰であろうと許せない」

「ellそのものって、永遠の愛ってこと……?」

自分で言いながら恥ずかしくなる。

おずおず優一さんを見上げると、彼は微笑みながら頷いた。

「ever lasting love。永遠の愛の英語読み。頭文字を取ってellというんだ。オレは、茉奈と会えてようやくellを掴めた」
< 215 / 287 >

この作品をシェア

pagetop