カリスマ社長に求婚されました
どうして優一さんがここにいるの?

スーツを着て、講師の高畑先生のところへ真っ直ぐ歩いていく。

その間、私の側を通り過ぎた優一さんは、こっちを見ることはなかった。

仕事で来たのかな……。

たしか、高畑先生とは二、三回しか会ったことはないと言っていたけど。

理由がなんであれ、私を無視したくらいだから、きっとビジネスの話があるんだろう。

知らない顔をして帰ろうかと思っていると、みんなの興奮気味な声が聞こえて足が止まった。

「あの人が相良社長でしょ? カッコイイ。生で初めて見ちゃった」

顔を赤らめた女性たちが、チラチラ優一さんを見ている。

二宮さんも顔をニヤけさせて、優一さんに視線が釘付けになっていた。

「高畑先生、お久しぶりです。なかなかご連絡できなくて、すみませんでした」

優一さんが声をかけると、高畑先生は満面の笑みを浮かべた。

四十代前半らしい先生は、実年齢より十歳は若く見える。

美人で知的な顔立ちだからか、優一さんと向かい合っている姿が絵になっている。

「こちらこそ、お噂は常々伺っていたんですよ。ところで、こんな突然どうされたんです? よくここがお分かりでしたね?」
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