カリスマ社長に求婚されました
欲しくないといえばウソになるけど、優一さんが側にいてくれたらそれでいいと、今は素直に思える。

「へえ。憧れだったのに?」

もう、二宮さんはなにが言いたいのだろう。

私から和也を奪っておいて、どうしてこんなに突っかかってくるのか分からない。

「いいんです。私には、優一さんがいますから」

こんなことを他人に言うつもりじゃなかったけど、あまりに二宮さんが挑発めいてくるから、いい加減イライラしてしまう。

彼女に半分捨ぜりふのように言い、部屋を出ようとした瞬間、思いきり転んでしまった。

「坂下さん、大丈夫⁉︎ 」

わざとらしく二宮さんは心配そうな、それも大声で声をかけてくる。

「大丈夫です……」

起き上がりながら、膝に鈍い痛みを感じる。

私の足を引っ掛けたのは、二宮さんだ。

スッとつま先を出され、気をつけなくてはと思った瞬間には転んでしまっていた。

本当、なんて意地悪な人なんだろう。

膝は、まるで子供のように派手に擦りむいていた。
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