カリスマ社長に求婚されました

他の人たちにも見られ、恥ずかしいったらない。

だけど、二宮さんに詰め寄ったって証拠がないのだし、もう無視してしまおう。

歩くたびに膝に少しの痛みを覚えながら部屋を出ると、そこには和也がいた。

昨日から、最低な再会が続く。

「茉奈……」

和也は、別れた頃と変わりなく、私を見つけてなにか言いたそうにしている。

だけど私は、和也に声をかけるつもりはないから、そのまま通り過ぎようとしたところで、背後から二宮さんの声がした。

「和也！ 迎えにきてくれたの？ 今夜は、どこかで食べて帰らない？」

私に聞こえるようにか、大きな声だ。

だけど和也の返事は聞こえてこず、代わりに耳に入ったのは、「茉奈！」と私の名前を呼ぶ声だった。

なんだろうと、渋々ながら振り向くと、和也はどこか思い詰めた顔で、そして二宮さんは睨みつけて私を見ている。

「なに？」

「あ……、元気だったか？ それが、ずっと気になってて……」

「え？」

なんで、今さらそんなことを聞くのか、彼の本心が分からず返事をしないままでいると、後ろから今度は優一さんの声がした。

「茉奈、遅くなってごめん。帰ろう」