カリスマ社長に求婚されました
「優一さん……」

こんな場所でなければ、彼の胸に飛び込みたいくらい。

それくらい嬉しくて、言葉も出てこないくらいの私の手を、優一さんは立ち上がり優しく引っ張った。

「茉奈、帰ろう。早くふたりきりになりたいから」

「うん……」

優一さんの手の温もりを感じながら、ゆっくり歩き出す。

さすが優一さんは目立つから、セミナーに来ている女性陣たちの視線をまだ独り占めしていた。

途中、ア然としている和也と二宮さんの前で、優一さんは足を止める。

「それでは、失礼します」

余裕の口調でそれだけ言った優一さんは、私の腰に手を回し返え、再び歩き始めた。

エレベーターに向かいながら、私はなにを言うでもなく優一さんを見る。

すると、すぐに気づいた優一さんが私に微笑んだ。

「さっき、茉奈の膝にハンカチを巻いていて、去年のクリスマスイプの夜が蘇ってきたよ。あの日から、茉奈はもうオレのものだから」
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