カリスマ社長に求婚されました
「うん……」

やってきたエレベーターは、昨日と同じでふたりきり。

ドアが閉まった瞬間、優一さんは痛いくらいに抱きしめて、唇を重ねた。

いつもより激しいキスに、私の呼吸はあっという間に乱れてきて、体の力が抜けていく。

「元カレなんて、思い出させない」

ボソッと言った優一さんの言葉で、和也へのヤキモチが分かる。

優一さんが心配することじゃないのに……。

それに、和也が私と別れたことを後悔していたとしても、もう関係のないこと。

だいたい、今となれば彼にフラれてよかったと思ってるくらいだ。

おかげで優一さんと出会えたし、なによりここまで自分を愛してくれる人なんて、この先絶対に現れないと分かるもの……。

「優一さん、キスだけじゃ足りないよ……」

扉が開く間際、体を離される前にそう呟いた私の耳元で、優一さんは答えてくれた。

「大丈夫。今夜は寝かせないから」

和也と二宮さんとの再会は、正直切なくて全然嬉しいものじゃなかった。

でもその分、優一さんとの絆はますます深くなった気がする。

だから和也、さようなら。

私はもう、去年のクリスマスイプの悲しい思い出を、忘れることにするから……。

お互い、進む道が交わることは、きっとない。
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