カリスマ社長に求婚されました
「気にしないで。私たち、手が空いてるから整理手伝うわね」

「ありがとうございます」

彩子さんたちは私の向かいに座ると、作業を始める。

なにげなく彩子さんの手元に目が行き、キラッと光る指輪が見えた。

「彩子さんの指輪、ellのものですか?」

ellの指輪を全部知っているわけではないけど、ここで仕事を始めてから、商品には詳しくなったと思う。

だけど、彩子さんの指輪は見たことがなかった。

「あ、ああ……。これね……」

と、突然恥ずかしそうにした彩子さんは、チラッと柊也さんを見ている。

そして柊也さんも彩子さんの視線に気づいて、照れ隠しの咳払いをした。

「オレの手作り……」

「手作り? 柊也さんが、デザインしたってことなんですか?」

思わず身を乗り出し柊也さんを見つめると、彼は小さく頷いた。

「今でこそ、デザインばかりしてるけど、初期はオレも彩子も優一も、いちからジュエリーを作ってたんだ。指輪ひとつくらい、難なく作れる」

「スゴイ! じゃあ、世界でひとつだけの指輪なんですね。素敵……。私も、実はellの指輪を買っちゃおうかなと思ってるんです」
< 234 / 287 >

この作品をシェア

pagetop