カリスマ社長に求婚されました
とはいえ、まるで納得できない。

柊也さんたちの様子を見ていたら、なにかもっと意味があるように思えたからだ。

どうして、私が買ったらいけないんだろう。

優一さんに同じ質問をしたら、どんな反応をするか、それも気になり始め、最新パンフレットを一冊もらい持って帰ると、リビングで眺めていた。

「そんなにじっくり見て、欲しいものでもあるのか?」

お風呂上がりの優一さんが着替えを済ませ、後ろから覗き込んできた。

「ellの指輪を見てたのよ。買っちゃおうかなって思って……」

優一さんの方に顔を向け、反応を確認するつもりが、不意打ちでキスをされた。

「そのパンフレットには、茉奈に似合うジュエリーはないよ。いつか、オレが見立ててあげるから」

と言った優一さんは、私の隣に腰を下ろす。

柊也さんたちのように、優一さんが驚くことはなくて、むしろ私の負けだ。

優一さんのキスは、私をおとなしくさせるには効果てきめんだった。

「茉奈にとって、ellは憧れなんだもんな。だからこそ、最初に手にするジュエリーはこだわらないと」
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