カリスマ社長に求婚されました
優一さんの大きな手からは、いつもの温もりがない。

「デザインを考えるのに夢中で、気がつかなかったよ。言われてみれば、寒くなってきたな」

苦笑いをする優一さんは、寝室に入ると私を抱きしめた。

「茉奈はあったかいな……。ちょっと温めてさせて」

「もう、優一さんってば。ここ二週間、帰ってきても書斎にこもりっきりだし、寝る時間も遅いじゃない? そんなに、ひとりで頑張らないといけないことなの?」

いつもは、柊也さんたちと一緒にしている仕事も、今回はなぜか優一さんひとりでしていることが多い。

「ごめん、ごめん。心配かけてるみたいだな。大丈夫、無理はしてないから。それに、これはオレひとりでやらないといけないことなんだ」

「優一さんがひとりで?」

なにかわけでもあるのか、それが決めたことなら仕方ないけど、体には気をつけてほしい。

見上げるように優一さんを見つめると、額に軽くキスをされた。

「ほら、そんなに心配な顔をするなって。オレは楽しくてやってるんだから。それより、もっと温かくなることしていいか?」
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