カリスマ社長に求婚されました
今年も街にはクリスマスソングが流れ、街はカップルで溢れかえっている。

彼らを車から見ていると、去年のことを思い出してきた。

あの通りの向こうで、私は和也にフラれたんだわ。

そして、この先で……。

と考えていたとき、優一さんのクスッと笑う声が聞こえた。

「あの信号のところだよな。茉奈が、オレの車の前に出てきたのは」

「う、うん。やっぱり覚えてるよね?」

優一さんが久しぶりに、私に笑った顔をみせてくれたのが嬉しい。

「覚えてるよ。本当にあのとき、茉奈に出会えてよかったと思ってる」

「優一さん……」

ハンドルを握る優一さんは、笑みを浮かべていた。

「茉奈は、今日のデートが乗り気じゃないみたいだったけど、オレは楽しいよ」

「それは、私もよ。乗り気じゃないのは、楽しくないからじゃなくて、優一さんの足を引っ張ってるんじゃないかと思ったから」

今日だって、日中は部屋でゆっくり過ごして、十九時からのパーティーに間に合うように出てきただけ。

それなら仕事終わりでもよかったんじゃないかと、思ってしまっていた。
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