カリスマ社長に求婚されました
「ほら、茉奈行こう。あのバス停からバスに乗って、まずはレンタカーを借りに行くから」

「あ、うん!」

いつの間にか私より数歩先を歩いていた優一さんが、振り向きざまに手を差し出した。

スーツケースは別荘に送っているから、かなり身軽で動きやすい。

私は駆け寄ると、優一さんの手を取った。

「茉奈はどこに行きたい? やっぱりショッピングか?」

バス停までを歩く間、優一さんを外国人の女性ですら見ている。

背が高いし、意外と締まった体つきだし、半袖Tシャツだから余計に、筋肉質な腕が目立っていた。

「やっぱり、優一さんってモテるのね。外国人の女の人も、優一さんに見とれてた」

サングラス効果も、絶対にあると思う。

できれば歩きながら、左手薬指の結婚指輪をチラつかせてほしいくらい。

「茉奈、景色じゃなくて、そんな余計なところを見てたのか」

優一さんはまったく気にする様子はなく、バスの時刻表と腕時計を見比べている。
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