カリスマ社長に求婚されました
「あれ? 地図どおりに歩いたつもりだったのに……」

どこかで目印を間違えたとか?

辺りを見回しながら、不安になってくる。

「スマホ……繋がらないよね」

優一さんとはぐれる想定はしていなくて、海外での通話の方法を考えていなかった。

「どうしよう……」

待ち合わせの時間も過ぎたし、優一さん心配してるかも……。

とりあえず、もう一度地図を確認して……。

と広げたところで、英語で話しかけられた。

振り返ると、ガタイのいい外国人が愛想良く喋っている。

「な、なに?」

単語をなんとか聞き取ろうとするも、「car」くらいしか分からない。

そのうちに腕を引っ張られて、どこかへ連れていかれそうになる。

「や、やめて……」

なんて力が強いんだろう。

恐怖心が勝って、声もロクに出ない。

優一さん助けて……。

手を引っ張り返して些細な抵抗をするも、全然歯が立たない。

すると次の瞬間、背後から男性のドスをきかせた声が聞こえた。
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