カリスマ社長に求婚されました
言われてみると人の数はまばらで、少し先にはさっき会った嶋谷副社長夫妻がいる。

「ロマンチックですね……」

こんな贅沢なイルミネーションを見るのは初めてで、相良さんがいなければ一生目にすることはなかったと思う。

感動する気持ちと同時に、ここにいるのがどうして和也じゃ無いんだろうと、考えてしまった。

本当は、こんな豪華なイルミネーションなんて見られなくても、和也と過ごせればそれでよかった。

寒い冬空の下でも、彼がいれば寒さなんて忘れられた。

それなのにどうして、あんなヒドイ別れ方をするの?

私との思い出を、全部ウソだったよって言われたのと同じで、切なさと苦しさと、どうしようもない悲しみでいっぱいになってきた。

「茉奈ちゃん?」

気がつけば、涙がひと粒ふた粒とこぼれ落ちている。

相良さんに、夢のような場所に連れてきてもらえて、気持ちも落ち着いてきたかと思っていたのに。

やっぱり思い出すのは、大好きな彼のこと……。

「和也……。ヒドイよ」

堪えきれずに口にして、嗚咽をもらす私を、相良さんは優しく抱きしめた。
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