カリスマ社長に求婚されました

相良さんは、ほんの数秒黙ってそして続けた。

「連絡先を聞かなかったことを、心底後悔した。だけど、こうやって今日再会できて、本当に嬉しい」

「相良さん……。どうして、私のことを忘れないでいてくれたんですか？」

ellの社長である相良さんなら、私のように特別美人でも才能があるわけでもない女性なんて、すぐに忘れると思っていた。

だけど相良さんは、ずっと覚えてくれていて、そしてもう一度会えたことを喜んでくれている。

そのことが、どうしても不思議だった。

「茉奈ちゃんが、ちゃんと笑えてるか心配だったから。できるならオレが側にいて、茉奈ちゃんを笑顔にしたいと思ってたんだ」

「相良さん……」

胸がいっぱいで、泣きそうになる。

一夜限りの出会いだと自分に言い聞かせていたのに、相良さんはずっと私に会いたがってくれていた。

「ごめんな、オレの素性を隠していて」

「いいえ。私に話さなければいけない理由はないですから。それに、次の日にはテレビで知りました」