カリスマ社長に求婚されました
社員の人はどんな人たちなのか、社内はどんな雰囲気なのか、想像するほど緊張する。

相良さんにエスコートされる形で、曇りガラスのドアを開けてもらい中に入ると、目の前にショーケースが飛びこんできた。

「これって、飾られているのは本物のジュエリーですか?」

「ああ、そうだよ。だいたい、新作を飾るようにしているんだ」

そこには、豪華なダイヤのネックレスにイヤリング、そしてティアラが数点、小さなライトに照らされて輝いている。

「素敵……。それにしても、こんな入口から入ってすぐの場所にあるなんて、かなりインパクトがありますね」

思わず立ち止まって眺めていると、相良さんが私の肩越しにショーケースを覗き込む。

顔が真横にきて、少しでも動いたら頬が当たりそうだ。

ドキドキする気持ちを隠して、ジュエリーだけを眺めていた。

「それは、このフロアには上顧客が来るからなんだ。そういう人たちに対するサービス。このティアラは、結婚式用として作ったものなんだよ」

「そうなんですね……」
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