カリスマ社長に求婚されました
早く離れてくれないか、恥ずかしさでいっぱいの私は、そう言ったきり固まってしまった。

すると、相良さんのクスッと笑う声がした。

「ごめん、茉奈ちゃんをいたずらに緊張させるつもりじゃなかったんだ」

と言いながら、ようやく相良さんは私から体を離した。

私もホッとしながら、少し肩の力が抜けていく。

「相良さんって、けっこう大胆なことをしますよね？」

顔の火照りはまだ冷めなくて、手で小さくあおぐ。

「本当にごめん。茉奈ちゃんと一緒に仕事ができるのが嬉しくて、気持ちをコントロールできなかった」

相良さんは楽しそうに言うと、私を奥へと促した。

オフィスの奥は、大きな窓が部屋全体に広がって、開放感溢れている。

クリーム色が貴重の壁に、島が三つあった。

そこには二十代から三十代の社員がいて、なかには外国人もいる。

相良さんが、「坂下茉奈さんです」と私を紹介すると、皆立って拍手をしてくれた。

不安があったけれど、誰もが皆、快く受け入れてくれて、ようやく私も笑顔がこぼれた。
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