カリスマ社長に求婚されました
エレベーターが開くと、廊下もオレンジ色で照らされていて、正面にダークグレーのドアが見えた。

それしかドアが無いところを見ると、優一さんの部屋しかないみたいで、ますます贅沢さを感じてしまった。

優一さんは仏頂面のまま、カードキーでドアを開けると中へ入っていく。

私も後に続くと、キレイに片付けられた玄関で、急いで靴を脱いだ。

廊下の電気をつけた優一さんは、大股で歩いて奥のリビングの明かりをつけている。

そこには、ガラス製のダイニングテーブルがあり、カウンターキッチンがその奥にある。

反対の壁際にはテレビとオーディオがあり、ローテブルと黒色の革張りソファーが置かれていた。

エレベーターで機嫌を悪くした優一さんは、無言でバルコニーの窓を開けている。

私はどうしたらいいか分からずに、リビングのドア付近で立ち尽くしていた。

まさか、こんなに早く嫌われてしまったの？

そうだとしても、私が優一さんのような人に一瞬でも選ばれたことが奇跡だったんだ……。

「ごめんなさい、優一さん」

彼の背中に向かって言うと、優一さんは振り向かずに応えた。

「どうして、謝るんだ？」
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