カリスマ社長に求婚されました
優一さんと幸せで甘い時間を過ごした次の朝は、余韻を打ち消すのに精一杯だった。

朝早くにマンションを出た私は、彼に自宅まで送ってもらい、そこから出勤した。

ほんの数時間後にはまた会えるのに、優一さんが側からいなくなると、途端に寂しさがこみ上げる。

体からほのかに香る優一さんの匂いや、胸元に残るキスマークが、さらに愛おしい気持ちを大きくさせていた。

「おはよう、優一さん」

待ち遠しかった出勤だけに、自然と声も明るくなる。

郵便物を抱えて社長室に入ると、ちょうど優一さんも出社してきたところで、カバンをデスクに置いたところだった。

「おはよう、茉奈。ほんの少し前まで一緒にいたのに、早く会いたかったよ」

「え?」

少し照れくさそうな優一さんは、私から郵便物を取ると、それを確認し始めた。

優一さんも同じように思ってくれていたことが嬉しくて、顔は緩みそうだ。

だけど、今から仕事なのだから、身を引き締めるために、その気持ちは無理やり押し込んだ。

「そうそう、優一さん。今週末の打ち合わせなんだけど、デザイナーの方の名前を聞いてきたの」

なにか気にかかっていたみたいだから、早めに伝えておこう。

「そうか。で、どなただった?」

急に真顔で私を見つめた優一さんは、少し緊張しているみたいだ。

「島原奈子さん。有名な、新鋭服飾デザイナーよ。優一さん、知ってる?」
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