カリスマ社長に求婚されました

島原奈子とは、『NAKO SHIMAHARA』の名前で、最近活躍が著しい若手デザイナーだ。

彼女はたしか、優一さんと同じ三十二歳だったはず……。

キャリア向け女性の服飾デザイナーだけど、ウェディングドレスも手がけるようになったと、ニュースで見たことがある。

「私ね、奈子さんのウェディングドレスが可愛いなって思ってたの。洋服のときとは違って、キュートな女の子らしい感じなのよね」

奈子さんの名前を聞いたとき、少し興奮してしまったけど、優一さんはあまり嬉しそうでもなくて、気まずそうな表情をしていた。

「どうかしたの？」

唇を噛み締めて、数秒私を見つめている。

そして、小さくため息をつくと言った。

「黙っていても、必ず知られることだから、言っておく」

「え？ な、なに……？」

突然改まった口調に、私は緊張してきた。

「島原奈子は、オレの留学時代の彼女だったんだ。四年前まで付き合っていたのは、奈子なんだよ」