カリスマ社長に求婚されました
「えっ? 奈子さんが、優一さんの彼女だった……?」

思ってもみなかった告白に、私の頭の中はパニック状態になってしまった。

島原奈子さんは、新鋭デザイナーとはいえ、バリバリのキャリアウーマン風ではなく、小柄で可愛いタイプの人だ。

目が綺麗な二重で大きく、厚みのある唇で肩までの栗色に髪は、毛先にパーマがかかっている。

性格は社交的で愛嬌のあるタイプ、だからメディアの印象も良い。

私が知っているイメージは、そうだった。

完璧な奈子さんが、優一さんと付き合っていたという事実に、私は動揺を隠せない。

目を泳がせる私に、優一さんは言った。

「たぶん、奈子は茉奈に過去のことを話すと思うんだ。だから、彼女の口から知られるより、オレから言っておきたかったんだけど……。ごめん、心の準備もさせずに」

「ううん、謝らないで。優一さんの過去を、私がなにか言う権利はないもの……」

と応えたものの、やっぱり心はざわつく。

それに、奈子さんが私に優一さんのことを話すって、どういうことなのか。

金曜日の打ち合わせが、途端に不安になってきた。
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