恋を届けるサンタクロースvol.1~沙希~
 だって、今思えば、本当にしょーもないことで佑樹とケンカしちゃったから……。



「ごめんって、沙希。怒んなよ」

 佑樹が顔の前で両手を合わせた。

「やだ! 絶対やだ! クリスマスイブにバイトなんて冗談じゃない。断ってよ」

 あたしはぷいっと横を向いた。

「だって、しょーがねーじゃん。ほかのバイトがみんな休み入れちゃってて、店長、困ってんだよ」
「知らないよ、そんなの。佑樹が休みの希望を出すのが遅いのが悪いんじゃん!」
「まあ、それはそうだけどさ……。店長ひとりで働かせるわけにはいかないだろ」
「もういいよ。佑樹はクリスマスイブにあたしと会わなくても平気なんだよね。よーくわかった」
「平気なわけないだろ」
「じゃあ、バイト断ってよ」
「だからそれは無理だって」

 佑樹の口調が荒くなった。イライラしてるのはわかるけど、あたしだって怒ってる。付き合って初めてのクリスマスイブなんだから、一緒に過ごしたいのに。

「佑樹のバカ!」
「バカってなんだよ、バカって」
< 7 / 16 >

この作品をシェア

pagetop