恋を届けるサンタクロースvol.1~沙希~
「バカだからバカって言ってんの! バカにバカって言ってなにが悪いのよ!」
「おまえ、いい加減にしろよ」

 佑樹が目を細めてあたしを見下ろした。その視線の鋭さにドキッとする。

 佑樹、本気で怒ってる……。

「もう勝手にしろ!」

 佑樹があたしに背を向けて、スポーツバッグを肩にかけ、教室から出て行った。ピシャリ、と大きな音を立ててドアが閉まった。

「なによ、佑樹のバカ。勝手にするわよ。勝手にすればいいんでしょっ」

 あたしだってバイトを入れてやる。佑樹が気が変わってあたしに会いたくなっても、あたしだってバイトで忙しいから、会えないんだからねっ。後悔しても知らないんだからっ!



 そうしてあたしはクリスマスイブにケーキ売りの単発バイトを探して入れたのだった。

 でも、あんなこと、言わなきゃよかった。

 会えないのは残念だけど、佑樹がお世話になってるコンビニだもんね。店長さんを助けてあげてね、とか。

 じゃあ、あたしもバイトをするから、クリスマスにおいしいもの、食べに行こっか、とか。
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