好きって言っちゃえ
「待ってましたっ、イタリアン」
光俊は今日一番の笑顔で料理へと向かって行く。舞は、ピザを一切れ皿に取ってから席に最初にいたテーブルの席に戻った。そこに、美雪がやって来て隣に立った。
「舞、それしか食べないの?」
「うん?とりあえずね。ボチボチ食べるわよ」
「何?久々にがっついてる男の人と喋って疲れちゃったとか?」
「まぁね。皆本気で結婚したいんだねぇ」
「舞よりは本気だと思うよ」
「ねぇ」
「ん?」
「京極写真館って、いい男揃いかな?」
「っ!」
美雪は一瞬目を見開いて、しゃがみこんで舞と目線を揃えて顔を近づけた。
「いい男揃いよっ」
「え?」
そこに、
「あれ?舞さん、それしか食べないんですか?」
と、皿にピザやパスタを盛った航が戻ってきて、しゃがみこんでいる美雪の横の椅子に座った。
「あ、西尾くん」
美雪はパッと立ち上がり、キラキラした笑顔で航の方に向き直る。
「ああ、片岡さんでしたか」
「西尾くんは『結婚しない主義』とかじゃないんでしょ?」
「ええ。僕は30になったしそろそろ結婚を見据えた付き合いしたいなぁって思ってたんで、来させてもらって良かったです」
「そう?気になる人いた?」
「ええ、まぁ」
含み笑う航。
「うそ?」
驚く舞の横で、美雪の笑顔は固まった。