好きって言っちゃえ
舞が真っ青スーツの男性に捕まってる間にパスタを食べ終えた光俊は、立ち上がって、ドリンクコーナーへやって来た。
「コーヒーもらおっかな」
独り言を言いつつコーヒーを取り、テーブルに戻ろうとして、ふと足を止める。近くで見ていたときは仕方なく話してるように見えた舞だったが、遠めに見ると結構笑いながら和やかに話しているように見える。
「…」
すると、光俊が座ってたいた席に別の男性がサッと座って、二人の会話に割り込んだ。
「あ…」
舞は、新たに来た男性にもにこやかな笑顔を見せて話始めた。
「……結構モテてんじゃん」
コーヒーを持ったまま行き場をなくしている光俊に、
「あの…平野さん、お話いいですか?」
と、かわいい声で話しかけてきた女性がいた。
「ん?ああ〜、もちろん、もちろん、喜んで。どっか、座りますか?」
光俊は空いている席に女性を誘導して座り、話し始める。会場中の参加者が入れ替わり立ち替わり話をしているうちにあっという間に40分という時間は過ぎて行った。
「は〜いっ、皆さんっ!時間になりましたので、一旦最初のお席にお戻りくださ〜い」
全員が席に戻ると、一人一人に10cm角の紙とペンが配られた。
「は〜い、皆さん。今配られた紙を見てください。下側にご自分のナンバーとお名前を書く欄がありますので、まず、そこを書き込んでください」
指示されるまま参加者全員、紙に書き込み始める。
「はい、書きましたか?では、次に、上の欄の空白に、今日、ここで出会った方の中から、お付き合いしたいなと思われた方のナンバーまたはお名前をご記入ください」
「え?」
舞の口から小さな声が漏れた。
「いいですか〜、白紙は絶対ダメですよ〜。少しでももう一度お話ししたいと思った方を『必ず』ご記入ください。それが結婚へ踏み出すための大事な一歩ですからね」
「マジか…」
光俊の眉間に皺が寄る。