好きって言っちゃえ
それぞれの想い
お見合いパーティーが行われた次の土曜日。京極写真館のブライダルハウス担当の3人は朝から結婚式の撮影をしていたが、披露宴がお開きとなり、そろそろ片づけて帰ろうとしていた。
「お疲れ様」
光俊がカメラケースの蓋を閉めたところで、後ろから美雪が声を掛けた。
「お疲れさまっす」
光俊は振り返って美雪を見る。
「この前はどうもありがとね」
「いえいえ。こちらこそ。ただでイタリアンごちそうになっちゃって」
「あれからどう?舞とは仲よくやってる?」
美雪はニヤニヤしながら光俊に尋ねた。
「ええ、ええ。おかげさまで。気のせいか、ますます当たりが強いっすよ」
「あはははははっ」
思わず声をたてて笑ってしまう美雪。
「なんか、楽しそうですね」
そこに航がやって来た。
「あっ、西尾くん」
「ども」
「先日はありがとね」
「いえ、こちらこそ。結構楽しかったですし、ねぇ」
航が光俊に同意を求めた。
「西尾は楽しんでたよな〜。あ、そういえば片岡さん」
「何?」
「西尾の書いた相手はどうなってるんですか?あの日ダメでも後日チャンスがあるとか言ってませんでしたっけ?」
「…」
美雪の顔からみるみる笑顔が消えていく。
「タダで参加させてもらったのに、期待して待っててもいいんですかね?」
航が申し訳なさそうな顔で美雪の顔を見る。