好きって言っちゃえ
「ねぇ、実際お似合いなんじゃないの?舞と平野くん」
「あ、俺もそう思ってたんですよね」
と、航が美雪の話に乗っかった。
「そうっすかぁ〜」
光俊は怯むことなく前傾姿勢で美雪を見た。
「全然、気持ち入ってないね…」
「だって、現実味のない話っすからね〜」
光俊は脱力して一旦ダラッと背もたれに持たれたが、すぐに前傾姿勢に戻った。
「それより、西尾の相手っすよ」
「あ〜…」
話を戻されて一瞬苦い顔をしそうになった美雪だが、そこに丁度タイミングよく美咲がコーヒーを持って戻って来た。
「お待たせしました」
「ああ、ありがと、ありがと」
笑顔で美咲を迎える美雪。美咲は先に美雪たちのテーブルをコーヒーを配り終えると、次に長岡の方に運んだ。
「あ、ありがとうございますっ」
突然の美咲の登場に、思わず立ち上がってお礼を言う秀人。
「ああ、美咲ちゃんもそっちのテーブルで飲ませてもらってよ。いいでしょ、長岡くん」
「は、はいっ!」
「緊張しすぎだろ」
思わぬ美咲との相席に顔が引きつる秀人に苦笑いの光俊。
「そのアルバムの写真の説明でもしてやってよ」
「宜しくお願いします」
ひょこっと頭を下げて、美咲が秀人の向かいに座った。つられて秀人も着席したのを保護者のように見届けると、三十路の三人は本題に戻った。