好きって言っちゃえ
「で、この写真、僕が撮ったんですよっ」
美咲にアルバムを見せながらやっと出て来た自分が撮った写真を興奮気味に指さす秀人。
「…」
「聞いてる?」
「…っ!もちろん。いい写真ですねっ」
「あ、分かってくれるんだ。嬉しいなぁ」
無邪気に喜ぶ秀人をよそに、美咲の目は、美雪たちと楽し気に話す光俊を捕らえていた。
「じゃ、そろそろ帰りますかね」
コーヒーを飲み干して光俊が立ち上がった。
「そうですね。あんまり帰りが遅いと、舞さんに叱られますからね。あ、電話入れましたか?」
「もちろん、撮影終わったらすぐ入れたよ。あの人、うるさいからな」
「あ、ねぇ、火曜日、バレーの練習するんでしょ?」
「ええ」
「ほんとに見に行ってもいい?」
「いいっすけど、見るだけじゃつまんないっしょ。動けるカッコで来たらいいじゃないっすか。なぁ」
「片岡さんって、バレー出来るんですか?」
「出来ないけど、なんか面白そうだから。じゃ、行けそうだったら行くね」
「ええ、待ってますよ。おいっ、長岡〜、帰るぞ」
「あ、はいっ」
慌てて立ち上がる秀人。
「美咲ちゃん、コーヒーありがとね」
光俊が美咲に飛び切りの笑顔を投げかけた。
「あっ、いえっ」
テレまくる美咲。
「遊ばないの」
小声で美雪に叱られて、笑いながら出て行く光俊の後ろから航と秀人もブライダルカウンターを出て行った。
「美咲ちゃん、悪いけど、コーヒー片づけてね」
「はいっ!」
光俊の笑顔の余韻に浸って元気に返事をして片づけ始める美咲。美雪はカウンターの中に入り、次の結婚式の資料を広げた。が、心ここにあらず。航をどうやって攻略していこうか考えているのであった。