好きって言っちゃえ
そして、美雪が楽しみにしている火曜日がやって来た。いつものように京極家で食事を終えた面々は航の運転で体育館にやって来た。到着すると、体育館の前に車のヘッドライトに照らし出されてた人影があった。
「あ、美雪。ほんとに来たんだ」
直ぐに美雪だと気が付いた舞は車から降りると美雪に駆け寄った。
「美雪〜。気合入ってるね〜」
美雪は真新しいピンクのジャージに身を包んで立っていた。
「まぁね」
「お疲れっす」
舞に続いて男連中も車から降りて来て声を掛けた。
「やぁ。美雪ちゃん、久しぶりだね」
「あ、お久しぶりです、悠ちゃん。あ、チーフって呼ばなきゃいけなかったですかね?」
「いいよ、いいよ。今仕事関係ないから。『悠ちゃん』で」
「あれ?仕事関係ないんですか?これ」
と、秀人。
「関係ないんじゃない?町内会の集まりでしょ?」
と、舞。
「じゃ、僕も『悠ちゃん』でいいんですか?」
「アホか、それは無理がある」
「あ痛っ」
靴を履き替えながら話を聞いていた光俊が秀人の頭を軽く叩いて体育館の中に入って行った。まずは、美雪を加えて、いつものように最初は輪になってボールを打ち合う。
「はいっ。あ、行ったよ、美雪」
舞がはじいたボールは初参加の美雪の所に飛んで行った。
「任せてっ。はいっ!」
美雪はアンダーで受け、ボールはきれいな弧を描き航の所に飛んだ。
「おっ、うまい」
航は褒めながらオーバーハンドで受け止め、隣にいる秀人にボールを回す。
「はいっ」
練習するとは大変なもので、回を重ねるごとに上手くボールをつなぐことが出来るようになり、初日と比べると雲泥の差となっていた。