好きって言っちゃえ

ネットを張ってサーブの練習をしてからこの日の練習を終えた。

「じゃ、私、美雪とお茶して帰るから」

と舞は、京極写真館の車に乗らず、体育館の前で皆と別れた。

「じゃ、美雪ちゃん、またね」

手を振って車に乗り込む悠一。

「は〜い」

美雪も軽く手を振り返す。

「美雪ちゃん、おやすみ〜」

と言って、航が運転席に乗り込んだ。

「おやすみ〜」

声をワントーン上げ、全力で手を振る美雪。間もなく、車は4人を乗せて走り出した。

「あ〜、行っちゃた」

「美雪…」

「何?」

「あんたって、こんなわかりやすくい人間だったっけ?」

「まぁ、舞よりは素直で分かりやすいかな〜。それより、どこ行く?」

二人は美雪の車に乗り込んだ。近くの24時間ファミレスにやって来た二人はドリンクバーのみ注文し、それぞれ飲み物を取って来ると向かい合って禁煙席に座った。

「舞とお茶するなんて久々よね?」

「うん、ブライダルハウスの仕事が始まって、お互い忙しくなったからね」

「それよりさ」

「何?」

「この前お見合いパーティーで会った時にも思ったんだけど、舞、なんか楽しそうよね」

「楽しそう?どういうこと?」

「なんて言うか。やっぱり、いい男に囲まれて生活してるからかなぁ」

「平野くんみたいなこと言わないでよ」

「平野くんなんて言ってたの?」

「長い間、お義兄さんと悠ちゃんと一緒にいるから麻痺してるんだって」

「なるほど。一理あるわね」

「だったら、前から楽しそうなはずでしょ?」
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