好きって言っちゃえ

「だから、そこよ」

「どこよ?」

「出来過ぎた男2人に囲まれてたから本来の舞の口の悪さが影を潜めてたことが、無意識にストレスになってたんじゃない?」

「は?言ってる意味がわかんないんですけど」

「だから〜、あの口から生まれてきたような何を言ってもメゲナイチャラ男に言いたい放題言えてることが、楽しいのよ、舞は」

「…」

首をひねる舞。

「あ、チャラ男って、平野くんの事よ」

と、真顔で美雪。

「いや、引っかかるのはそこじゃなくって。私、口が悪いかな?」

「悪いじゃな〜いっ。ていうか、わりかしズケズケ言っちゃうじゃん。小学校の時なんて、口げんかで男の子よく泣かしてたじゃない」

「…」

それには思い当たる節がある。

「でも、そういうのって、相手に非がないとなかなか言えないじゃない。突っかかっていくところがないでしょ?」

「まぁね…」

「だから、隙がないお義兄さんや、優しい悠ちゃんは文句のつけようがないでしょ?」

「うん」

「かと言って、今は客商売だから、相手が少々理不尽なこと言ってるなって思っても、正面切って文句言うわけにもいかないし」

「うん」

「そこで、チャラ男の登場よ。舞が突っ込むのに丁度いい、いや、むしろ強めに突っ込んでくれっていう姿勢だもんね、平野くん」

「そうかな」

「そうよ」

「じゃ、ま、そういうことでもいいけど」

「いいけどじゃないでしょ」

「それ以上に何があるのよ」

「結婚でしょ」
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