好きって言っちゃえ
近づかない距離
6月は梅雨時期にもかかわらず『ジューンブライト』の響きも手伝って、ブライダルハウスは土日は昼も夜もフル活動で結婚式が入っている。そのため、光俊たちが京極写真館に帰って来るのは夜の10時を過ぎていた。
「お疲れ様〜」
1階の店舗で悦子が3人を出迎えた。
「お疲れ様です」
「会長、すみません、遅くまで待ってもらってて」
「なに言ってんのよ。皆の方が大変なんだから。待つぐらい待たせて頂戴」
「社長とチーフは上にいるわよ」
「はい」
「あと、少しだけど夜食に舞がスパゲッティ茹でてたみたいだから、荷物置いたら皆で一緒にうちにいらっしゃいね」
「ありがとうございますっ」
3人は荷物と共にエレベーターに乗り込んだ。
「舞さんが料理なんて珍しいですね」
と、秀人。
「そうだな。なんか心境の変化かな?」
と、航。
「俺ら待つのが退屈だったからじぇね?」
と、光俊。エレベーターが2階に着くと、荷物を下し、スタジオに入った。
「お疲れ様でーす」
「おお、お疲れ」
剣二と悠一が作業部屋から出て来た。
「今日は雨はどうだった?」
と、剣二。
「ああ、お昼のはちょっと降ったんっすけど、夜のは大丈夫でした。夜降ったら、花火上げれなくなるみたいだったんで、降らなくて良かったっすよ」
「そうか。それは良かったな。ああ、皆荷物置いたら、上に夜食用意してくれてるみたいだから、食いに行こう」
「はい」
撮影機材を定位置に片づけると、5人揃って3階の京極家へやって来た。