好きって言っちゃえ
「アタッカーは決めなくていいの?」
と、哲平。
「ちゃんとトスが上げれれば、自然と誰が打った方がいいかは分かるんじゃないかな」
「と、なると、セッターは上手い人の方がいいですよね?」
と航。
「上手い人か〜」
皆、キョロキョロと顔を見合う。
「いないの?」
と、哲平。
「上手いって言ったら、やっぱチーフだけど、チーフには打って、点取ってほしいから、セッターやってもらうのはもったいないだろ。そうやって考えると…」
との光俊の言葉に自然と皆の視線が哲平に集まった。
「ええ〜っ!僕〜!?」
「いいじゃないか、セッター」
と、剣二。
「ええ〜。僕、アタッカーなんですけど…」
「ここはひとつ、優勝の為に哲平師匠、宜しくお願いします」
「お願いします」
調子良く頭を下げる光俊に続き、皆も半分笑いながら頭を下げた。
「んもう〜、しょうがないな〜。分かったよ、セッターやるよ。やればいいんでしょ」
大の大人に頭を下げれて、流石の哲平も断り切れなかった。かくして、ポジションも決まり、大会までのあと2回の練習は哲平もセッターとして参加することとなったのだった。