好きって言っちゃえ

「アタッカーは決めなくていいの?」

と、哲平。

「ちゃんとトスが上げれれば、自然と誰が打った方がいいかは分かるんじゃないかな」

「と、なると、セッターは上手い人の方がいいですよね?」

と航。

「上手い人か〜」

皆、キョロキョロと顔を見合う。

「いないの?」

と、哲平。

「上手いって言ったら、やっぱチーフだけど、チーフには打って、点取ってほしいから、セッターやってもらうのはもったいないだろ。そうやって考えると…」

との光俊の言葉に自然と皆の視線が哲平に集まった。

「ええ〜っ!僕〜!?」

「いいじゃないか、セッター」

と、剣二。

「ええ〜。僕、アタッカーなんですけど…」

「ここはひとつ、優勝の為に哲平師匠、宜しくお願いします」

「お願いします」

調子良く頭を下げる光俊に続き、皆も半分笑いながら頭を下げた。

「んもう〜、しょうがないな〜。分かったよ、セッターやるよ。やればいいんでしょ」

大の大人に頭を下げれて、流石の哲平も断り切れなかった。かくして、ポジションも決まり、大会までのあと2回の練習は哲平もセッターとして参加することとなったのだった。











< 129 / 209 >

この作品をシェア

pagetop