好きって言っちゃえ
そして、セッターに哲平を迎え、残り2回の練習をこなし、なんとかバレーのとしての形が出来て来て来て、いよいよ明日は大会という土曜日となった。
「お疲れ様」
そろそろ帰ろうとしている航を捕まえて、美雪が声を掛けた。
「ああ、片岡さん。お疲れ様です」
あれから、美雪は忙しく、結局練習に行ったのはあの1回だけだった。そのため、あれ以来、航が美雪を『美雪ちゃん』と呼ぶことも無く、当たり前のように『片岡さん』と呼ばれている。
「明日よね?」
「はい」
「どう?優勝狙えそう?」
「まぁまぁですかね。正直ほかのチームがどんなモチベーションんでくるのかがわかんないんで、何とも言えないですね」
「そっか。私、休みとれたから、応援に行くね」
「え?ほんとに来るんですか?」
「迷惑?」
「いえ、嬉しいです」
言わされてる感満載である。それでも強い気持ちでウキウキと話を続ける美雪。
「なにか、差し入れ持って行こうかな?食べたいものとかある?」
「片岡さんが作ってくれるんですか?」
「もちろんっ。あ、でも、難しいものは作れないけど…」
「じゃ、サンドイッチか何か」
「サンドイッチ?」
「はい、それなら皆でつまめるし。どうですか?」
「皆でね…」
航一人に作っていこおうと思っていた美雪だったが、すぐに気持ちを切り替えた。
「いいわよ。じゃ、サンドイッチ作っていくから、頑張ってね」
「はい。楽しみにしてます。じゃ、お疲れ様でした」
「お疲れ様〜」
会釈して立ち去って行く航を見送ると、
「よっし。今日は残業しないで帰るぞ〜」
と、気合を入れる美雪であった。