好きって言っちゃえ
ここの体育館はバレーコートは2面取れるので、開会式が終わるとすぐに2試合同時に始まった。チーム京極の出番は2試合目なので、2階のスタンド席に戻り、1試合目の様子を伺った。
どこのチームも中学生1人は入れているものの、あとは女性も含め、まぁまぁな中年チームで、チーム京極のように30代が以下ばかりというチームは今試合をしている中にはいないようだった。
そのため、試合も結構なグダグダ具合である。
「これ、勝てるんじゃね?」
と、光俊。
「ああ、勝てそうな気がする」
普段慎重な悠一まで思わず同意した。
「2セット取ればいいんですよね?」
「ああ、5セットマッチやるのは決勝だけみたいだから。それまでは2セット先取だな」
「決勝に体力温存しておくためにも、ストレートで勝ち進みたいっすね」
「ああ」
「そんなに上手く行く?」
と、舞。
「行くんじゃなくて、行かせるんっすよ。ねぇ、哲平師匠」
「そうだよ、僕たち勝ちに来てるんだから」
「おっ、心強いっすね〜」
哲平が妙にやる気なのは、参加しただけでもらえるお小遣いを、優勝したら少し上乗せしてもらえるように交渉したからだった。