好きって言っちゃえ
ピーっ!と審判の吹く試合開始のホイッスルが鳴り響き、秀人のサーブで試合が始まった。相手のチームは多分に漏れず50代中心のチーム。絶対に練習などはしておらず、悠一がスパイクを決めようものなら、
「おお、アタックは反則じゃないのか?」
と言い出すレベルだったため、光俊の思惑通り、1回戦は難なくストレート勝ち。体力温存に成功した。試合を終えると、チーム京極は2階の美雪の所に戻って来た。
「イエーイっ!おめでとう!」
ハイテンションで両手ハイタッチを求めた美雪に、
「イエーイっ!」
と、ハイタッチした舞に続き、近くにいた哲平も
「イエーイっ」
と美雪と手を合わせ、その勢いで美雪は全員と両手ハイタッチをこなし、最後にハイタッチしたのは図らずも航だった。思わず産物に幸福感を抱きしめる美雪。
そんな美雪の気持ちに気付いているのかいないのか、航は美雪の持ってきた籠を指さした。
「美雪ちゃん、サンドイッチ食ってもいいですか?」
「もちろんっ。皆もどうぞ」
美雪は気分良く、力作のサンドイッチを籠から取り出し、皆に配って回った。
「ありがとう。いただきます」
もちろん、反応が気になるのは航のみ。美雪はじっと、航のコメントを待った。が、航が口にする前に、
「あ、『熊マンズ』の試合始まったよっ!」
と、哲平が言ったので、皆サンドイッチを持ったまま、最前列に移動した。
「んもうっ。タイミング悪いんだから」
ブツブツ言いながら美雪も皆の後を追って最前に立って7人は横一列に並んだ。すると、1点目から熊田の鋭いスパイクが決まった。
「うわ〜」
7人のため息が漏れる。
「ありゃ確かに、1人で8点だな」
と、光俊。
「でしょ」
サーブ権が熊マンズに移り、さっき、熊田にトスを上げていた華奢な女性がサーブに立った。その姿を見て
「あ、あの人…」
舞が声を出した。
「ん?」
舞の声に皆がサーブを打とうとしている女性をマジマジと見つめた。そして、哲平以外、一斉に呟いた。