好きって言っちゃえ
チーム京極も熊マンズも順当に勝ち上がり、3回戦の準決勝までやって来た。準決勝2試合は同時に行われることとなり、チーム京極はAコート、熊マンズはBコートに入った。
隣のコートに桃子がいると思うと、つい見てしまう航だったが、流石に話しかけるところまではいかない。ひょっとしたら、試合が追わったら、話しかけてしまうかもしれないと、舞と光俊はそのタイミングだけ警戒することにし、とりあえずは目の前の試合に集中した。
準決勝ともなると相手もなかなかのアタックを打ってくる。チーム京極はシーソーゲームの苦戦を強いられていた。
「タイムっ!」
相手に20点目を取られ、20−19と逆転されたところで、悠一が今日初の、作戦タイムを取った。
「ストレートで勝つためには、これ以上点をやれないんで、作戦をちょっと変更しようと思う。俺が後ろにいるときには俺がセッターをやる。だから、哲平くんは打て」
「ラジャーっ!」
「後のメンバーは、レシーブ頼んだぞ」
「おっしゃっ!」
頷きあって、コートに戻り、試合が再開された。先ほど点を取った相手チームのサーブ。直ぐに悠一は前に出てネットを背に構え、
「任せろっ」
と、後ろのセンターにいた光俊が声を掛けてレシーブをきれいに悠一に返し、悠一は前列で待ち構えていた哲平にトスを上げた。
バシッ!
気持ちよく決まる哲平のスパイク。
「やったーっ!」
不意に中学生が打って来て面食らう相手チーム。その後は相手のリズムを崩し、結局、ストレート勝ちでチーム京極は決勝へと駒を進めた。そして、熊マンズも圧倒的な強さで先に決勝行きを決めており、既にコートサイドからは居なくなっていた。