好きって言っちゃえ
「決勝戦は、10分後に行います」
というアナウンスが流れた。
「ついにきましたね」
と秀人。
「きたね〜」
と、光俊もそわそわしている。
「ここで満足しちゃだめだよ。目指すは優勝なんだから」
と、哲平。
「そう、その通りっす。哲平師匠の言う通り」
「次、桃子さんとか…」
決勝の準備が進むコートを見ながら航がぼそりと呟いた。
「…」
「…」
思わず目を合わせ、歩み寄る舞と光俊。
「話しかけるかな?」
と、舞。
「ま、試合中に話しかけることまずないっしょ。試合終わってからも、決勝戦終わったテンションで『なんで会ってくれなかたんですか』とは、話しかけないんじゃないっすかね〜」
と、光俊。
「私もそう思う。大丈夫よね?」
「もう大丈夫っしょ」
確信して頷きあう二人。
「そろそろ行くか」
「は〜い」
悠一の号令でチーム京極は、決勝戦はコートの向きを変えて、真ん中に1面で取ってあるコートエンドに並んだ。反対側にはもちろん、熊マンズが並んでいる。
「時間になりましたので、チーム京極対熊マンズの決勝戦を開始いたします」
アナウンスを聞いて両チームともコートに入った。
「皆手ぇ出して。円陣円陣っ」
哲平に右手を前に出して皆呼んだ。笑いながらも皆集まり、秀人、航、光俊、舞と右手を重ね、最後にバシッと悠一が一番上に手を置いた。
「よし、泣いても笑っても、これが最後。平野なんか、言っとく事あるか?」
「言いたいことはただ一つ。取るぞ、100万っ!」
「おーっ!!!!!」
気合を入れてポジションに散らばった。