好きって言っちゃえ
舞が事情を知らない二人を連れてその場を離れたので、光俊が航に話しかけた。
「どうする?チーフ、置いて帰る?」
「…。分かりましたよ、桃子さんが白紙で出した謎が」
と、力なく航が呟いた。
「だな」
「桃子さんの気になる人が出来たって言うの、チーフだったってことですよね」
「まぁ…そう考えるのが妥当だよな」
「…チーフが相手じゃ、勝ち目ないですね」
「ま、チーフがどう転ぶかはわかんないけどな」
「桃子さんがチーフにフラれるって、ことですか?」
「あの人、皆に優しいからね〜。本命がわかんないんだよね〜」
「確かに…。いや、でも、桃子さんはフラないでしょ。あんなにかわいいんですよっ」
「そりゃまぁ。かわいいけど」
「はぁ…。チーフより先に出会いたかったなぁ」
「ふっ。出会いが逆でも結果は同じ気がするけど?」
「そうですかね〜」
「そうだよ。それより、お前、美雪ちゃんにサンドイッチの味の感想言ってやったか?」
「あ、言ってない。気づいたらもう、美雪ちゃん帰っちゃってたし」
「そういうところがお前はチーフと違って、優しくないんだよ。わかってんだろ?美雪ちゃんがなんであんな大量にサンドイッチ作って来たか」
「え?」
「え?分かってねーのかよっ」
「…今、分かりました」
「年上の女も結構かわいいとこあるかもしんないぞ」
「そうかもしれませんね」
二人が笑いあったところで舞たちが戻って来た。