好きって言っちゃえ
「だって、真実だも〜んっ!」
「………」
「いや、そこもう一回フォローするとこじゃないの?」
思わず、言い淀んだ光俊の肩を隣の舞がバシっとっ叩いた。
「イテッ!なんで俺が張り倒されんだよっ」
じゃれ合う様な光俊と舞のやり取りを、微笑ましく見守る悦子と剣二の視線には二人は気づいていなかった。その後、食べ盛りの哲平は黙々と食べ始めたので、あの後、桃子と何を話したのか悠一に聞きたい気持ちはありつつも、誰も聞かないままに食事会は終わりを迎えた。
「それじゃ、ご馳走さまでした」
悠一が最初に席を立ち、アパートに住んでいる他の3人も次々と立ち上がり、
「会長、毎週食べさせて貰って、ありがとうございました」
と光俊が、改めて悦子に礼を言った。
「何言ってんの。皆で食べられて、楽しかったわ。次は〜、忘年会かしらね」
「大分先っすね」
まだ7月である。
「そうね。まぁ、またなんかあったら皆で食べましょ」
「はい。是非」
「じゃ、皆今日は、ゆっくり休んでね」
「はい。お疲れ様でした〜」
4人はアパートへと帰って行った。
「あ〜あ、なんかつまんないわね」
悦子はコップに残っていたビールをググッと飲み干した。
「僕もつまんない」
哲平もコーラをグッと飲み干した。
「哲平は、部活でバレーやってるんだから、つまんなくないでしょ?」
と、舞。
「違うよ。皆が来ないとなると、食生活が前に戻るってことでしょ?」
「食生活?」
「煮物とか、焼き魚とか、地味な奴ばっかの。火曜日のご飯、楽しみだったのにな〜」
「何言ってんだ、哲平。贅沢な事言うんじゃない。作ってもらってるだけでもありがたいだろ」
剣二が諭すように哲平にそう言った。