好きって言っちゃえ
バレー大会が終わると、京極写真館にはごく普通の日常が訪れ、季節は真夏を迎えていた。
「暑い…」
炎天下でのガーデンウェディングのスナップ撮影をしながら、光俊は汗だくでゲッソリした顔をしていた。そんな、光俊に気付いて秀人が光俊に歩み寄った。
「大丈夫ですか?平野さん。なんか、顔色悪いですよ」
「俺ちょっと休憩させてもらうわ。あと頼む」
秀人の肩に手を掛けてそう告げると、光俊はよろよろと日陰へと入って行った。その力のない後ろ姿に気付いた航が秀人に声を掛けた。
「平野さん、どうかしたのか?」
「なんか、具合悪そうでした」
「そっか。ま、あと少しだから。秀人、しっかり頼むぞ」
「はいっ!」
日陰に入って来た光俊は、出入り口の横の壁に背中をもたれて立ち、ぼんやり賑わう会場を見ていた。そこに、中から美雪が出て来て、すぐ横に人がいることに驚いた。
「うわっ」
「ん?」
「なんだ、平野くんか。びっくりさせないでよ」
「いや、別にびっくりさせたつもりはないけど」
「どうしたの?なんか、テンション低いわね」
「ちょっと、調子悪いんすよね…」
「もしかして、日射病?大丈夫なの?中で休んだら?」
「いや、こうしてるだけで大分楽なんで」
「そう?無理しないでね」
「ありがとうございます」
光俊がちょこっと会釈したのを見た後、美雪は新郎新婦に次の進行伝えに行った。それから間もなく、新郎新婦のお礼の挨拶があり炎天下でのウェディングパーティーは終了を迎えた。