好きって言っちゃえ

そんな京極家の話し合いが行われたのが、今から1年前になる。
話が固まると、悦子は早速アパートを建てる準備を始め、剣二と舞は会社を個人経営から会社経営にする為に商工会議所に相談に行ったりと、いつもの仕事以上に忙しい日々を過ごした。そして、剣二はブライダルハウスと写真関係の専属契約を結ぶと、急ぎ、社員募集をハローワークに出した。もちろん、無料社員寮入寮可の条件で。
新しい社員を向かい入れるにあたり、京極写真館の面々はそれまで名前で呼び合っていた呼び名を一新することにした。剣二は『社長』、悦子は『会長』、悠一は『チーフ』。舞は、役職が無いので『京極さん』と呼びたいところだが、4人中3人が『京極』なので、仕方なく今まで通りということで。
社員寮のアパートは、予算の関係で4戸建てなった。
その1戸は、悠一が入ることとなったので、募集人員は3人。『無料社員寮』が効いたのか、面接には剣二が思っていたより多くの人が来てくれた。
その中から、悠一より年上だと悠一がやりにくいだろうとか、即戦力が必要だが、将来性も考えたいなどと、条件を絞り込んでいき、決まったのが、今から2か月前の2月のことである。
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