好きって言っちゃえ
社員寮が完成すると、まず悠一が引っ越した。4戸建ては、1階に2戸、2階に2戸となっており、悠一は1階の『101号室』に入居した。
続いて引っ越してきたのは、大手の写真館でブライダルの写真を担当していて、剣二が即戦力として期待して決めた西尾航、29歳。航は2階の『201号室』に入居。
次に越してきたのは、平野光俊、32歳。光俊はデザイナーで写真の経験は殆どなかったが、センスの良さを見込んで採用となった。光俊は1階の『102号室』。
3月初旬時は前職を退職し、入寮を終えた航と光俊は、剣二と悠一と共に、これからの仕事ことを打ち合わせをして、ブライダルハウスの営業開始の4月に備えた。
そして、3月も終わろうとした頃、最後の1人が入寮してきた。この春大学を卒業したばかりの長岡秀人、22歳。大学で写真を学んでいた秀人は、剣二曰く『期待のホープ』だ。
秀人が『202号室』に入居し、これで、いよいよ新体制の『京極写真館』の全メンバーが揃い、4月の今日、剣二は、ブライダルハウス記念すべき1件目の結婚式の仕事に光俊、航、秀人を送り出したのだった。