好きって言っちゃえ
「ああ、そうだったんですね。僕はてっきり、舞ちゃんついに平野と付き合い始めたのかと…」
「はぁ~?つ、つ、ついにって、どういう意味?」
思いがけない悠一の言葉にびっくりしまくる舞。
「いや、バレー以来、2人結構仲良さそうだから…」
「バ、バレー以来仲良さそうなのは、私たちじゃなくって、悠ちゃんたちじゃないっ。桃子さんと付き合ってるんでしょ?結婚するの?」
まさか、悠一に平野との仲を疑われ思わず、舞は『チーフ』と呼ぶべきところを『悠ちゃん』と呼び、悠一に反撃して早口でまくし立てた。
「え?」
話が一気に自分のほうに向いて今度は悠一が驚いて固まった。2人の言い合いをコーヒーをすすりながら聞いていた剣二が、
「そっかぁ~」
と、大きく呟いた。
「え?え?え?今のは何に対しての納得ですか?」
悠一は、自分が答える前に頷いている剣二を不可解そうに見る。
「いや、大体のことは分かったから」
「は?それ、どういう意味?」
今度は、舞が剣二を見る。
「つまり、悠一くんはここにお見合い写真を撮りに来た桃子さんっていう子と付き合ってるってことは、相手はもちろん悠一くんとの結婚を意識しているわけだから、ま、悠一くんも、結婚を遠からず意識はして付き合ってるだろうし」
剣二も『チーフ』と呼ぶべきところを『悠一くん』とあえて呼び、内輪の話感を出して来た。
「舞ちゃんは、いつまでも一緒にいるような身内のようなつもりでいた悠一くんが他人に取られたようで寂しくなったと」
「…」
「…」
その通りである。悠一も舞も無言でコーヒーを啜ったその時、剣二が話を続けた。
「で?舞ちゃん、平野のことはどうなってんの?」
「ゲホッ!」
咳き込む舞。