好きって言っちゃえ
悠一は瞬き多めになって剣二を見る。
「そう、命と引き換えの保険金」
真顔で答える剣二。
「え?保険金殺人!?」
益々瞬きが多くなる悠一。
「ちょっと、勝手に殺さないでよ」
「そ、殺さなくっても舞ちゃんは、じきに死ぬ運命だから。ね、舞ちゃん」
「・・・」
舞が「いずれ胃がんで死ぬ」と思い込んでいる事を完全にネタにしている剣二に、何も言えない舞。
しかめっ面の舞を無視して、悠一は腕組みをしながら、うんうんと何度もうなづいた。
「なるほどね。舞ちゃんと籍入れてれば、殺さずとも、保険金は自ずとダンナに入ってくると。
で、平野の場合、その保険金で借金返せるってことか~」
「もう、悠ちゃんっ、そんなに納得するようなこと?」
「いやいやいや、納得するよ~。だから舞ちゃんも遠慮なく平野に言えるんだよ」
「何?どうせ命くれてやるんだから、何言ったっていいでしょって?」
「そうそう」
真顔で更に頷く悠一を見て、「はぁ~」と大きくため息をついてから、舞はコーヒーをごくりと飲んだ。