好きって言っちゃえ
「ま、舞ちゃんの方は、そのくらいにしておいて。悠一くんは本気なんだろ?」
と、剣二が話を悠一に戻した。
「あ、まあ、一応、そのつもりではいるんですが」
はにかみながら答える悠一。舞は、コーヒーをすすりながら悠一を見る。
「そうか。ま、悠一くんがいつ誰と結婚するかっていうプライベートなことに口出しする気はさらさらないんだが」
と、前置きして剣二はコーヒーカップをテーブルに置き真顔で悠一に向き直った。
「アパートは一応家族でも住めるようにと思って作ってるから、結婚してもそのままいてくれても大丈夫だから」
剣二の態度に、悠一も姿勢を正して、膝を少し剣二の方に向いて座りなおした。
「ありがとうございます」
「ただ、扶養家族の手当てはそんなには出せないから、より良い給料を求めてやめるっていうんだったら、
秀人がもうちょっと使えるようになるまで待ってくれ」
「辞めたりしませんよっ。ここに来た日から、ここに骨を埋めるって決めてきたんですから」
「そっか。ありがと。頼りにしてるよ」
「・・・」
二人の話を聞きながら、悠一の結婚は時間の問題だなとひしひしと感じる舞なのであった。