好きって言っちゃえ
「そろそろ話しなさいよ」
テーブルの上の料理が半分無くなり、ビールも2杯目が運ばれて来た頃、なかなか本題にはいらない美雪を舞がせっついた。
「ん~」
「なんなのよ、勿体ぶってないで言いなさいよ。西尾くんに告白するのになんで婚活イベントに行かなきゃいけないか」
「ほら、あれよ」
「あれって?」
「この年になるとさ・・・」
「何?」
「・・・露骨に振られたくないじゃない?」
「・・・そりゃまあね」
「舞が言うように、仕事は仲良くやってるわよ。当たり障りなくね」
「でもさぁ、あのバレーボール大会きっかけに少しは進展あったんじゃないの?西尾くんだって美雪が西尾くん狙ってることに気づいたでしょ?」
「そこよっ」
「どこよ?」
「気づいてるはずなのよ」
「だよね」
「なのに、何にも言って来ないのよね」
「何もって?」
「好きとも、嫌いとも、好かれても困りますとも、言わないの」
「なるほどね。・・・まぁ、西尾くんって、空気読める人だからね」
「だから?」
「美雪が好意を持ってくれてて、そこそこの感じが一番仕事がしやすいって感じてるんじゃない?」
「仕事がしやすいかぁ~」
美雪は『は~』と、大きなため息をついて露骨にガクッと肩を落とした。
「本気なの?西尾くんのこと」
「本気です~」
「どこが好きなの?」
「どこもかしこも~」
美雪はテーブルに両肘をつき、支えてないと項垂れてしまう頭を支えるように両手で頬杖をつきながら答えた。
「どこもかしこもって。なんか曖昧だな~」
「好きになるって、そんなもんじゃないのぉ?舞みたいに利害関係がはっきりしてるから好きって人はそういないって」
「・・・なんなのよ、さっきからちょくちょく挟んできて。何でもないって言ってるでしょ」
「そうかなぁ」
美雪は不意ににやりとした視線を舞に送る。