好きって言っちゃえ
「何よ?」
「知ってるんだぞ~」
「な、なにをっ」
「舞が、平野くんの部屋に行って、甲斐甲斐しくお世話焼いたこと~」
舞の脳裏に平野が低血糖で寝込んでいた日のことが一気に蘇ってきて、美雪が一体どこまで知っているのか、恐怖心にかられながら、動揺を悟られない様に舞は平常心を保ちながらまずはビールをゴクッと飲んで、答えた。
「あれは、母さんに頼まれて見舞いに行っただけよ」
「へ~」
「何よ」
「おばさんが大盛りパスタ作ってあげなさいって言ったんだ」
「・・・」
『バレてる・・・あのバカしゃべりやがったなっ』と、固まってしまった舞に美雪がビールを煽りながら追い打ちをかけた。
「悠ちゃんのことは、もう諦めがついたんでしょ~。あの桃子さんがライバルじゃ舞が勝てるわけないもんね~」
『ゆ、ゆ、悠ちゃんのことまで~』と、動揺が顔にまで溢れ出てもう平常心なんかどっかに飛んで行った舞は開き直って、美雪に反撃することにした。
「西尾くんも桃子さんにメロメロだったもんね~」
「そうよ、そうよ、そうよっ!あの女のどこがいいのよっ!」
恐らくお酒が回ってきた美雪は本能のままにしゃべり始める。
「桃子だかなんだかしらないけど、30超えてピンク色のスカートなんかはいちゃってさぁ。かわい子ぶりすぎだってんのよ」
「それにまんまと西尾くんはまっちゃったんだから、美雪もピンクのスカートはいてかわい子ぶってみたらどうよ?」
「・・・」
いい加減な舞の提案に、美雪の動きがピタッと止まった。
「ん?どした?」
「・・・そっか。その手があったか」
「受け入れるんかいっ」