好きって言っちゃえ
「私、ピンクのワンピース着て行く!」
「・・・好きにすれば。美雪にピンクが似合うとも思わないけど」
「何よ、それ。舞が着て行けって言ったんじゃないっ!それにあの女に似合って私に似合わないって、どういうことよ~」
最早、絡み酒である。
「ああ、ごめん、ごめん。似合うっ、似合うっ。めっちゃ似合う」
「そ、そう?」
急におとなしくなる美雪。
「で、ピンクのワンピース以外に、そのパーティーで告白する事に、なんか勝算あるの?」
「勝算っていうかさ」
美雪はビールを一口飲むと、じっと舞を見た。
「あのパーティーからだと思うのよ」
「何が?」
「舞が平野くんを意識し始めたのって」
「はぁ~~~ぁぁぁぁぁ?????」
思いがけない美雪の言葉に、思わず素っ頓狂な声が出た舞。
「いや、絶対そうだって。あのキスからよ」
何度もうなづきながら呟く美雪。
「してませんからっ」
勝手に納得している美雪に強めに否定する舞。
「いや、舞だけじゃないのよ。平野くんだって、キスしてから意識してるもん、絶対」
「だから、してないって」
「いやっ、絶対してるっ」
「してないっ」
「してるっ。絶対意識してるっ」
「っんあん?そっち?」
あの時キスしてないことを強調したかった舞は肩透かしになり、拍子抜けの声が出た。
「ほら~、意識してんじゃん」
「もう、私たちのことはいいから、美雪の事話しなさいよ」
「『私たち』だってぇ~。付き合ってんでしょ?白状しなさいよ」
「・・・。話さないんだったら、もう帰るよ。婚活パーティーの事はなかったことで」
そう言って立ち上がろうとする舞の腕を、美雪がガシッと掴む。
「・・・わかった。本題に入る」
美雪は舞から手を離すと、姿勢を正して座りなおした。