好きって言っちゃえ
「ああ、これが西尾くんだったらって、思う事が何度もあるもん」
「じゃあさ、西尾くん止めて、平野くんにしたら?」
「ナイナイナイっ!それは死んでもない」
「・・・死んでもない男を私に勧めてるんだ」
「いいじゃない。だって、舞は死ぬでしょ?」
「・・・」
「私は幸せに長生きしたいも~ん」
「死んでもないってのは、死ぬからいいっていう意味じゃないよね・・・」
ボソッと呟く舞を気にも留めず、美雪は続ける。
「西尾くんはねぇ、チャラ男と違って紳士的なのよぉ。」
「・・・そうですか」
「そうですかって、知ってるでしょ、舞だって。だって、西尾くんは舞んとこの人だもんね~。
ねぇねぇ西尾くんって会社だと、どんな人?そういえば、プライベートな事聞いたことないけど、休みの日なにしてるんだろ?ねぇねぇ、西尾くん何してる?」
「え?私が知るわけないでしょ」
「なんで知らないのよ~。何のために隣に住んでんのよ~」
「何のためにって・・・」
「もう、役に立たないんだからぁ~」
「いやいやいや、普通知らないでしょ。休みの日に何してるかなんて」
「じゃあ、趣味ぐらい知ってるんじゃない?」
「趣味~?・・・知らない」
「もう~、知ってってよ~。なんか一つぐらい教えてくれてもいいじゃない」
「そりゃ教えてあげたいのは山々だけどさぁ・・・あっ!」
「なになになにっ?」
「お酒は結構強い」
「ええ~、それだけぇ~」
「だから、美雪がどんなに酔いつぶれても、ちゃんと介抱してくれるよ、きっと」
「ん?西尾くんが私を介抱?」
美雪の顔が徐々にニマ~っと崩れていく。
「ああ~、妄想始まっちゃった?」
「やっぱ、いいよね、西尾くん」